ハリモグラのレビュー

日本の経済成長と戦後の姿を垣間見る。特撮ドラマ「怪奇大作戦」

日本の経済成長と戦後の姿を垣間見る。特撮ドラマ「怪奇大作戦」

2015.03.09邦画

当時の科学技術を元に、怪奇事件を解明していく特撮ドラマ「怪奇大作戦」。経済成長する日本を舞台に、怪奇なビジュアル表現と重厚な人間ドラマの魅力がつまった、特撮テレビドラマのレビューです。

怪奇大作戦とは?

1968年からTBSで放送された「怪奇大作戦」は、ウルトラマンシリーズなどで知られる映像制作会社「円谷(つぶらや)プロ」が制作した、全26話からなる特撮テレビドラマです。

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ストーリーは、当時の最先端科学を元に展開されます。怪奇現象のように思える謎に満ちた事件に対して、「SRI(科学捜査研究所)」のメンバーたちが、科学的な検証・考察を行いながら、それぞれの怪事件に挑んでいく様を描いています。

当時の社会問題が色濃く反映された「重厚なストーリー」と、当時ならではの特撮技術が楽しめる、根強いファンをもつ伝説的な特撮作品です。

ドラマデータ

1968年~ 日本 1話30分程度
制作/円谷プロダクション
出演/岸田 森、勝呂 誉、原 保美、松山 政路、小橋 玲子、小林 昭二

当時の社会状況を知ることは新鮮

ハリモグラは「怪奇大作戦」が制作された時代には、まだ生まれていなかった為、当時の科学知識や社会風土が垣間見えるストーリー展開は、新しい発見と驚きに満ちたものでした。

表面上では、戦後の傷も癒え、経済成長まっしぐらといった社会背景を基本に、戦争をわずかに引きずっている姿と、未来へのワクワク感をもった姿が入り混じった当時の人々の様は、現代では知ることの出来ない特殊な「苦悩」と「希望」を垣間見ることができます。

戦後に残る様々な「影」

本作は、毎回異なったテーマで描かれますが、戦後に残る「影」がストーリー中に散りばめられています。

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大久野島の毒ガス、広島の原爆、戦争の終結を知らない兵士などの直接的な表現だけでなく、普段の会話の中でも、戦争を体験した世代と、戦争を過去の事として理解している世代とのやりとりは、大きな世代の差がないにもかかわらず、確実な隔たりを感じさせ、現代に生きる人間にとっては理解しずらい「複雑な関係性」となっています。

当時の最新科学?

当時に考えられていた最先端科学と、それをお茶の間という「テレビレベル」で扱うための科学技術の解釈を見ることも新鮮に感じる部分です。

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レーザー技術やホログラフィーによる3D効果から、冷凍人間まで多岐にわたる内容ですが、今では当たり前の技術や、違う方向へと向かった技術、未だに成功していない技術など、現在のテクノロジーとの比較だけでも楽しめる作品です。

様々な要素から、時代を見て取れる

当時のライフスタイルを知ることが出来るのも「怪奇大作戦」の魅力のひとつです。

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貼ってあるポスターの『どんな窓にもしっかりカギを』という“ゆるい”標語だったり、ガスった都会の空気感や牧歌的な田舎の風景など、当時の世界を堪能できる要素がたくさん存在します。

その中でも、気になるのは必要以上に喫煙とコーヒーのシーンが登場すること。当時は「煙草」と「コーヒー」が時代のトレンドだったのかは知りませんが、愛煙家のハリモグラですら、頻繁に出てくる喫煙シーンを異常に感じるほどです。今あんな事したら、暇な大人たちがヒステリー起こして、テレビ局はクレームの嵐でしょう…。

「怪奇大作戦」は語りだすとキリがない…

怪奇大作戦という作品は、ミニチュア特撮や特殊メイクなどの表現だけでなく、出演者の演技・車や各種アイテム・効果音など、すべてに味があります。

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ストーリーについても、突っ込みどころが多い展開や、重厚な人間ドラマ、非科学的なドラキュラや雪女、チャッキー風な動く人形など、細かく語りだすとキリがありません…。

この時代の作品は、ファッション・ヘアスタイル・メイク・各種製品などの魅力的なデザインも目を惹きますが、時代背景から見えてくる「冷たさ」や「活気」のアンバランスな雰囲気は、最近の作品では感じることのできない新鮮な発見をいくつも与えてくれます。

最初は、怪奇・特撮というキーワードに惹かれて「怪奇大作戦」に興味をもちましたが、「戦争をしらない子どもたち」という言葉すら、古臭く感じてしまう世代に、ぜひ見てほしい作品だと思います。

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