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愛あふれる日常風景。画家「カール・ラーション」の世界。

愛あふれる日常風景。画家「カール・ラーション」の世界。

2015.07.06絵画・イラスト

素敵な作品も心に残る暇もなく、あっという間に消えてしまいそうな情報過多時代。そんな忙しない世の中でも、心にしっかりと留めておきたい魅力的な画家をご紹介していく「昔の画家シリーズ」。第3回目はスウェーデンの水彩画家「カール・ラーション」です。

画家「カール・ラーション」

1853年スウェーデンのストックホルム旧市街に生まれた画家「カール・ラーション」。家族や身近な人々との生活を淡い水彩で優しく描いた、スウェーデンでは知らない人はいないほどに親しまれている国民的な水彩画家です。

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ラーションの父親は酒飲みでちゃんとした職にもつかなかった為、母親が洗濯婦として働き最低限の生活費を稼いでいました。幼いラーションは自分でなんでもやらなければならず、とても貧しく辛い幼少期を過ごしています。

幸運だったのは、貧民学校の教師ヤコブセンに才能を認められ、13歳でストックホルム美術学校の予科(予備教育課程)へ推薦してもらえた事でした。とはいえ、ラーションは勉学に励む傍ら、風刺漫画家やルポルタージュ画家として働きながら、両親の家計を助けていました。

そんなラーションが描く水彩画は、自分が幼少のころ経験した家庭のあり方とはまったく正反対な、愛にあふれ温もりのある「平和な家庭」の風景そのものです。

ラーションの作品について

当時のスカンジナビア出身の画家では、アンデース・ソーンやエドワルド・ムンクも有名ですが、ラーションの絵画はそれらとは大きく違い、線描と柔らかい水彩を用いて、穏やかさや安らぎのある「直接的な風景」を写しとっています。

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はっきりとした輪郭線を描く線描スタイルや、水彩の優しい透明感のある彩色、牧歌的で身近な家庭の情景などは、絵画にあまり興味のない方でもすんなり受け入れることができる作風かと思います。

また、家族が過ごす「家」の風景は、改造・建て増しによってコラージュされたような可愛らしさがあり、家具や小物類、カーテンやカーペット、壁紙などの室内デザインを見ているだけでも、北欧インテリアの魅力を楽しむことができるはずです。

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今回ご紹介した「カール・ラーション」は、水彩画だけでなく伝統的な油絵も多く残しています。また、当時の芸術家と同様に日本美術への強い関心から、浮世絵の「簡潔で平面的な絵柄」や「装飾的で豊かな色彩」などを自身の絵画スタイルに取り入れていたりもします。

ラーションに限らず、この時代のヨーロッパ絵画では「ジャポニズム(日本趣味の潮流)」の影響を垣間見ることができる面白さがあり、印象派が日本人に人気な理由もこの辺りにあるのかもしれません。

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